【終了】個展:瀬戸内市立美術館

「さくらしべふる」 塩 / All images © 2021 Motoi Yamamoto

瀬戸内海に面した穏やかで美しいまち、岡山県・牛窓で個展を開催しています。
今回は桜モチーフにしたインスタレーションを制作。桜をかたどった十万枚を超える塩の花びらを床に散りばめる作品です。また、四半世紀前に描いた私の制作の原点とも言える平面作品も展示しています。

繊細な折り鶴の作品で知られる小野川直樹さんの個展も同時開催。
お近くにお越しの際には、是非お立ち寄り下さい。

個展: – さくらしべふる –

2021年3月9日(火) ~ 5月5日(水・祝)
瀬戸内市立美術館(岡山県瀬戸内市牛窓町)

– 過去と未来 –

前回、瀬戸内市立美術館で個展「たゆたう庭」を開催したしたのは、いまから8年前のことです。小学3年生になった娘も当時は1歳でしたし、妻の乳がんもまだ見付かっておらず、今とはずいぶん違った心持ちで作品に向かい合っていたように思います。

私は大切な人との思い出を忘れないために、長年作品をつくり続けてきました。制作は忘却という自己防衛本能に抗うための仕掛けであり、時と共に失われていく記憶をつなぎ止めるために根付いた習慣のようなものです。私は思い出や記憶という過去の出来事に関心を寄せてきたのです。
しかし、妻がこの世を去り、娘との生活が始まったことで彼女の将来、即ち未来に強く意識が向くようになり、作品への向き合い方にも変化が生じてきました。

そんな中で生まれたのが、9日間を掛け、桜をかたどった十万枚を超える塩の花びらを床に散りばめる作品「さくらしべふる」です。
「桜蕊降る」は晩春を表す俳句の季語です。赤紫色の蕊が降る時は、花の季節が去り、多くの人にとっては桜に対する興味を失うときでもありますが、次に訪れる新緑や盛夏に思いを馳せる、小さな気づきを与えてくれる時間とも言えるでしょう。
私は蕊の降る未来を思いながら、いま舞い落ちたばかりの花びらをつくり、また美しい花を生み出した桜の木、太い幹やしなやかな枝、力強い根にも思いを馳せながら花びらを重ねました。

なお、本展では妹が脳腫瘍で若くして亡くなった後、最初に描いた作品平面も展示しています。大切な命が消えゆく瞬間を心に刻み込もうと試みたもので、銅が緑青へと変化する様をそのまま留めた、制作の原点と言える作品です。

大切な思い出に想いを寄せながら、未来をみつめる機会となりますように。

2021年3月

9日間、55時間を掛けて10万枚を超える塩の花びらを重ねました。

「存在 95-03」 ミクストメディア / 1995
「桜」 鉛筆、アクリル絵具、木 / 2018
「桜」 クリスタルガラス / 2021

“designboom” https://www.designboom.com/tag/motoi-yamamoto/

海に還るプロジェクト
最終日5月5日 16時〜(整理券配布 15:30〜)
当日は基本的な感染対策だけでなく、密を避けるために整理券を配り入場時間を分散、塩を集めていただく作品エリアも分けるなどの対策を実施します。私も参加予定です。
お問合せ先:瀬戸内市立美術館

最終日に実施した海に還るプロジェクトには約100名の方々が参加してくださいました。有り難うございました。

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© 2021 Motoi Yamamoto

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