
能登と artists – 能登とともにある、アーティストの思考と行動-
会期:2026年3月7日(土)〜 4月2日(木)
会場:そごう美術館 神奈川県横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店 6階
10:00 〜 20:00((会期中無休)
入場料:一般1,400(1,200)円、大学・高校生1,200(1,000)円、中学生以下無料
出品作家:石川幸史、仮( )-karikakko-、金沢美術工芸大学アートプロジェクトチーム[スズプロ] 、高橋治希、高橋稜、前本彰子、眞壁陸二、モンデンエミコ、山本優美、金沢 21 世紀歌劇団+VOX OF JOY、山本基
2024年1月1日の能登半島地震から2年。復興への道のりが続くなか、能登へ思いを寄せ、現地に関わり続ける人々とともに、アーティストはいま何を考え、どのように行動しているのか。本展は、石川に暮らす作家10組と石川出身作家1組、計11組による展覧会です。
展示は「芽吹く」「重ねる」「変わる」「祈る」「歩む」という5つのキーワードを軸に構成され、震災後の時間のなかで生まれた思考や制作のプロセスを、作品を通して辿ります。

能登半島地震で、奥能登国際芸術祭の出品作《記憶への回廊》は倒壊し、7トンの塩で築いた塩の階段は瓦礫になりました。崩れた光景を前に、ただ「元に戻す/戻さない」を決めるのではなく、能登で暮らし続ける人々の時間に寄り添える形は何かと考えました。そこで私は、作品の塩をレジン樹脂に封じ、参加者が自分の手でアクセサリーをつくり、その小さな光を持ち帰る―失われたものを別の形で再生するため、ワークショップ「記憶のかけらプロジェクト」を始めました。本展の会期中にも石川県で開催し、思い出を封じた小さなかけらが生まれています。
本展で展示する迷宮や渦巻きは、古来、再生や循環を象徴する形として世界各地で用いられてきました。渦巻きは縄文土器にも見られ、自然の循環や生命力を想起させる形です。描線を何層にも重ねた「時の積層」は、隆起した海岸線をヒントに、震災後にはじめた新しいシリーズです。さらに今回は「瓦バンク」の協力を得て、倒壊家屋から救出された能登瓦を用いた作品も展示しました。
崩壊の只中から、もう一度、道筋を描き直す。その意思を、私の展示の中心に据えたいと思います。
山本 基


出品作のひとつである本作は、能登半島地震で倒壊した奥能登国際芸術祭の出品作「記憶への回廊」と呼応する作品です。
旧小泊保育所の室内に描いた模様は、「大切な思い出へとつながるための道」をイメージした線の連なりでしたが、その先に繋がるよう、人々の暮らしを支えてきた能登瓦に描きました。
瓦は、長い年月のあいだ風雪から人々を守り、生活の記録を静かに刻んできた存在です。その黒い表面に白い線を重ねることは、闇の中に光を見出すように、失われた時間をたどり、再び記憶を結び直す行為と言えるでしょう。私は、かつて家の中に響いていた笑い声や、家族を見守るまなざしに思いを重ねながら、一本一本の線を丁寧に引きました。
黒と白のあわいに浮かぶこの「モノクローム」の世界は、やがて鑑賞する人々のまなざしや想いによって、少しずつ彩りを帯びることでしょう。
瓦バンクの活動を通じて、この作品が能登の再生と、人々の心の奥にある色をそっと灯すきっかけとなることを願っています。