
アウトサイド
会期:2025年11月11日(火)〜12月16日(火)
会場:海浜あみだ湯 石川県珠洲市野々江町ナ部5番地3 Google Map
12:00 〜 21:00((水・木 休み)
入場無料(※入浴料別途)
主催:一般社団法人 瓦バンク
企画:石川嵩紘 / 協力:株式会社スペースシャワーネットワーク、山田九谷創生窯、合同会社クラフトラベル
出品作家:七尾旅人、仮( )-かりかっこ-、宮崎竜成、大和楓、池田杏莉、山本基
本展は、能登半島地震で被災した建物から救出された「能登瓦」に光を当て、その歴史や地域社会との関わりを見つめ直す展覧会です。瓦バンクが収集・保管してきた瓦を、再利用の可能性を探る活動の一環として企画されました。会場は被災後いち早く住民に開放され地域の拠点となった銭湯「海浜あみだ湯」です。
6名の作家がそれぞれの視点から瓦と能登の現在を映し出す新作を発表。私は1枚の瓦にドローイングを描きました。
瓦をテーマにした展覧会『アウトサイド』が石川・珠洲の銭湯で開催



本作は、能登半島地震で倒壊した奥能登国際芸術祭の出品作「記憶への回廊」と呼応する作品です。
旧小泊保育所の室内に描いた模様は、「大切な思い出へとつながるための道」をイメージした線の連なりでしたが、その先に繋がるよう、人々の暮らしを支えてきた能登瓦に描きました。
瓦は、長い年月のあいだ風雪から人々を守り、生活の記録を静かに刻んできた存在です。その黒い表面に白い線を重ねることは、闇の中に光を見出すように、失われた時間をたどり、再び記憶を結び直す行為と言えるでしょう。私は、かつて家の中に響いていた笑い声や、家族を見守るまなざしに思いを重ねながら、一本一本の線を丁寧に引きました。
黒と白のあわいに浮かぶこの「モノクローム」の世界は、やがて鑑賞する人々のまなざしや想いによって、少しずつ彩りを帯びることでしょう。
瓦バンクの活動を通じて、この作品が能登の再生と、人々の心の奥にある色をそっと灯すきっかけとなることを願っています。