能登半島地震で倒壊した奥能登国際芸術祭の作品を、1日限定の体験空間としてオープンします。
作品で使用した「塩」を使ったアクセサリーづくりのワークショップも開催。子どもからご年配の方、どなたでもご参加いただける、ちょっぴり緩めの無料イベントです。ぜひお気軽にお立ち寄りください。
1 DAY OPEN MUSEUM
– 空間体験 & アクセサリーづくり ワークショップ
《入場・体験ともに無料》
日時:2024年 11月 9日(土)13:00 – 16:00 (入場 15:30まで)
会場:旧小泊保育所(石川県珠洲市三崎町 17-33-1) アクセス
主催:金沢大学 能登里山里海 SDGsマイスタープログラム 2024年度 山本ゼミ
このイベントは、金沢大学能登学舎(旧小泊小学校)で行われている「のと里山里海マイスタープログラム」の一環です。私が講師を務めるゼミ生の皆さんと一緒に準備を進めてきました。珠洲や奥能登の皆さんとのご縁をいただき、この地で制作した者として、倒壊した作品をどう活かすか、どんな形で残せば良いかを模索しています。今回のイベントはその第一歩です。
また、奥能登以外にお住まいの方の中には、震災後、能登に足を運ぶことをためらっている方もいらっしゃるかもしれません。私自身もそうでした。でも、だからこそ、この機会にぜひ地域の今を見て、感じていただけたら嬉しいです。
「奥能登国際芸術祭 2020+」 展示の様子
令和6年能登半島地震で倒壊した作品の様子
開催の様子
旧小泊保育所で開催した「1 DAY OPEN MUSEUM」は大盛況でした!「塩のアクセサリーづくりワークショップ」に足を運んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。仮設住宅にお住まいの方や、かつてこの保育所に通っていた方、石川県外から来てくださった方など、多くの来場者で賑わいました。塩のアクセサリーづくりは大人気で、皆さんに楽しんでいただけたことが嬉しいです。倒壊した作品の一部がアクセサリーとして皆さんの傍らで揺れているかと思うと、なんだか私までワクワクしてきます。
倒壊した作品をどう活かし、どのような形で残していくべきか模索してきましたが、まずはこの一歩を踏み出せたことに感謝しています。私の葛藤を理解し、一緒に考え準備を進めてくれた「のと里山里海マイスタープログラム」ゼミ生の皆さん、金沢大学能登学舎の皆さん、許可を快くくださった珠洲市の皆さん、告知に協力してくださった皆さん、そしてワークショップに参加してくださった全ての皆さんに心から感謝いたします。本当にありがとうございました。
「開催への思い」
私たちは、金沢大学能登学舎で開催されている「のと里山里海SDGsマイスタープログラム」2024年度の受講生です。私たちのチームは、県内・県外出身者、職業や得意分野も多種多様なメンバーで構成されており、奥能登国際芸術祭の出品アーティスト・山本基さんが講師を務めています。
このプログラムは、たび重なる自然災害にもかかわらず継続され、今年度のテーマは「アート」です。 多くの人は作品を前にすると、ただ何となく眺めるだけで終わってしまったり、あまりに自由な表現にどう向き合えばいいか戸惑ったりすることも多いのではないでしょうか。私たちは、もっと自由に感じ、日々の生活の中にもあるアートと積極的に関わることができるのではないか。そして、アートは人々をつなげ、共に問題を考えたり、対話を深めるきっかけになるのではと考えました。
プログラム初日に保育所を訪れた私たちは、能登半島地震で倒壊した山本さんの作品「記憶の回廊」を目にし、言葉を失いました。以前、芸術祭でこの作品を実際に見ていたメンバーと、初めてその姿を目にしたメンバーでは、それぞれ驚きや感動、戸惑いなど異なる感想を抱きました。私たちは湧き上がる感情を整理し、自分の気持ちや周囲の状況を言葉にすることで、活動の方向性を見出していきましたが、ようやく私たちの思いがまとまったのは、能登が豪雨に見舞われた後のことです。
今回のワンデイ・オープン・ミュージアムには、3つのテーマがあります。ひとつ目は「記憶を記録する」ことです。旧小泊保育所と山本さんの作品の過去、現在、そして未来を感じる体験の場を提案します。2つ目は「記憶を持ち帰る」こと。倒壊した作品の一部である塩の結晶を使ってアクセサリーを作り、それを持ち帰っていただくことで、大切な何かと皆さんがつながるきっかけになることを願っています。そして3つ目は「記憶を言葉に紡ぐ」ことです。これまで言葉にできなかった感情を言葉にし、それを共有することで、未来への希望を見出したいと考えています。
お越しくださった皆さまにとって、この1日が小さくとも特別な場所や存在として、心に残るものになることを願っています。何より、この試みが皆さまにとって穏やかで幸せな気持ちをもたらしますように。
最後になりましたが、この機会をいただいた関係者の皆さまに、心から感謝申し上げます。
金沢大学能登里山里海SDGsマイスタープログラム 2024年度 山本ゼミ一同